そのちょっと前に、僕は母に土筆を送った。
20年前には我が家に母が来て、子供達と一緒に利根川の土手まで土筆を摘みに行った。
それから20年、今や我が家の庭にも土筆が顔を出すようになった。
母に土筆を送ってすぐに電話が来た。
でも、職場で電話を受けたので、十分には話ができなかった。
「今度のゴールデンウィークには来るんやから、話はまたそん時に聞くよ。」で電話を切った。
それから、1週間もしないで、母は亡くなった。
あん時にもっと話をするべきだったと後悔。
母のお通夜で、母が作った土筆の佃煮を一人で食べた。
これが母の手料理を食べた最後になった。
その後、土筆を食べるたびに母のことを思い出す。
土筆を摘む時にも優しかった母と一緒にいるようで僕自身も優しい気持ちになれる。