そのせいで、僕の背骨が折れてしまった。
大家に言っても修理に余りカネをかけたくないと言う。
月々の家賃はちゃんと払って18年なる。
遅れたことは一度もない。
銀行からの自動引き落としだ。
見積もりによっては修理をしないような口ぶりだ。
店子の僕が支払うようなことではないだろう。
僕のお客さんに大工仕事をやっている人がいる。
20年ほど前に脱サラで建築業を始めたらしい。
その人に見積もりをお願いした。
二日で見積もりを頂いた。
9万円ちょっとで、それほどの大金ではないが・・・。
大家さんが納得すればすぐにでも始めてくれるのだが。
僕達の職場は商店街のど真ん中だ。
でも、ほとんどがシャターが降りている、「シャッター街」だ。
シャッターが半分降りたままだから、お客さんは減ってしまった。
なんとか、この見積もりで納得してもらわないと、僕達の収入にも響いてくる。
このテナント店舗は大家さんの両親が2代目だった。
奥さんはもう10年以上前に亡くなった。
ご主人も3年ほど前に亡くなった。
つまりは、僕たちが支払っている毎月の家賃はどこに消えているのか?
よくわからないが、この店舗の名義はおじいちゃん名義のままらしい。
名義を変更するには、一族の全員の許可が要る。
うまく名義が変更されても、税金の督促がくるだけで、何もいいことがない。
だから、誰も手をつけないでいる・・・。
そんな店舗や家屋や土地が日本には九州に匹敵するくらいあるという。
家のローンだって、自分が所有することに意義があるわけで、所有権を放棄するなんて・・・。
考えられないことだが、今では当たり前になってきている。
どこかおかしいこの世界。